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ペニスが腫れた!

子供から大人まで、さまざまな原因によってペニスの一部〜全体が腫れ上がることがあります。痛くなったり膿が出たりすれば慌てて泌尿器科に飛び込んでくるのですが、痛みもなく赤くもなっておらず、昔っからあるよなーこれ、という場合には気付いてからかなり時間が経った後で受診されることもあります。1人で悩むくらいならば泌尿器科に相談に来てください。

原因と治療

1.正確な統計はついぞみたことがないのですが、おそらく一番多い原因は病原性微生物(ばい菌やカビの仲間)の感染による炎症でしょう。包皮(いわゆる皮です)が痛みを伴って腫れてきて、だんだん亀頭部も赤くなってきます。

原因となる微生物はもともと自分の体の表面にいるものが多いです。普段は体の抵抗力(皮脂や皮膚表面の連続性など)によって微生物の侵入を拒んでいるのですが、乱暴に扱ったりして抵抗力が落ちてしまうと皮膚の炎症が起こります。

抵抗力が落ちるのは体の内側に問題がある場合にも起こります。代表例は糖尿病で感染症への抵抗力が著明に落ちます。最近では糖尿病の治療薬として尿の中に糖分を捨てることで血糖値を下げる効果を持つものが使われていますが、尿道及びその周囲にいる微生物のよい栄養になっているらしく、尿道炎や周囲皮膚炎が増えることが知られています。

治療としては尿道の感染を合併していなければ抗菌剤や抗真菌剤などが含まれている塗布剤(軟膏やクリームなど)を使用するのですが、ペニスやその周辺の洗い方を指導してから薬を使ってもらうことになります。赤くなったり痒くなったりするとついついしっかりと洗わなくては!と考える人のなんと多いことでしょう、と言いたくなってしまうほど皆さん頑張って洗ってしまうのですが、完全に逆効果です、これ。

もともとが柔らかいところですので刺激性の強い石鹸をつけたタオルでゴシゴシ、なんてことをすれば傷がつきまくって帰って病原微生物が侵入しやすくなるだけです。石鹸をどうしても使いたいというのであれば赤ちゃんにも使えるような低刺激性のものをよく手で泡立ててから優しく包み込むように洗ってください。

要注意なのは淋菌が原因となっている場合で亀頭部が赤く腫れ上がるだけでなく尿道にもひどい炎症を伴い黄色い膿が出てきます。これは性行為(経膣性交だけではなく口腔性交でも)によってしか感染しませんが、経口摂取型の抗菌剤のほとんどが役に立ちません。第一選択は点滴による抗菌剤の投与となりますので、しばらく外来通院する必要があります。

2.ペニスの腫れの原因として意外に多いのが包茎です。包茎には真性と仮性がありますが、どちらの場合でもペニスが腫れることがあります。

真性包茎の方の中で尿の出口付近が硬くて狭い場合、おしっこが素直に包皮を通り越すことができず、一旦ダムのように包皮の中に溜まってからチョロチョロと漏れ出してしまうことがあります。このような場合、おしっこをする時だけ包皮が鬼灯のように膨らみ、排尿が終わるとまたしぼんでくるというパターンが繰りかえされます。この状態で感染を起こすと包皮が亀頭部に硬く癒着してしまうことがあるので早めの受診が必要になります。

仮性包茎の方の場合、無理に皮を剥いてしまうことで腫れてしまうことがあります。皮がゆるゆるで何の抵抗もなくむけてしまう場合には問題ないのですが、かなり狭い部分があるにもかかわらず無理に向いてしまうと嵌頓包茎という状態に陥ることがあります。単純にいうと首がしまるということで、体液の循環が悪くなることで包皮がむくんできます。包皮全体が浮腫む場合もあれば部分的に腫れることもあります。

狭窄がかなりひどい場合には亀頭部の血流も悪くなってしまい赤黒く変色してきます。このような場合には速攻で嵌頓を元に戻さないと冗談抜きでペニスが腐り落ちる可能性が出てきます。大慌てで診療所ではなく病院を受診してください。ヘタをすると手術が必要になりますので。

別に亀頭部は変色してないんだけど包皮が浮腫んでいる場合は外来で元に戻せる可能性が高いので診療所で十分対応が可能です。特に包皮を無理やり向いた後で勃起してしまうと余計に首がしまってしまい元に戻せなくなります。むけている方がかっこいいと思うのかもしれませんが、無理は禁物です。

3.もともとペニスや陰嚢は一枚の板状に発生してきたものがくるりと丸まって筒や袋になります。なので端っこ同士がくっついた後が残っています。男性諸君は風呂に入った時にでもペニスの下っかわを見て貰えばわかりますが、真ん中のところで縦に皺があるのが見えると思います。これを陰茎・陰嚢縫線と言います。

尿の出口のところから肛門付近まで続いていますが、この部分に水溜りができて、もしくは生まれつきあって、それが後日膨らんでくることがあります。陰茎・陰嚢縫線嚢胞と呼ばれるもので通常何の害にもならないことが多いのです。ただできる場所があまりにも尿の出口に近い場合にはおしっこがまっすぐ飛ばずに飛び散ってしまうことがあるため、切ったり焼き潰したりすることがあります。

それ以外の縫線上もしくはそのすぐ横にできた場合で周囲との色の違いも痛みもなければ処置は必要にならないのですが、病原微生物の感染が起こって赤くなり痛みを伴うようになれば手術が必要になります。

4.痛くも赤くもないんだけどペニスや陰嚢が腫れてきた、という方は純粋な浮腫を起こしている可能性があります。むくみは先ほども説明したように体液の循環が悪くなると起こるのですが、ペニスや陰嚢だけが浮腫むということはかなり稀なことで、ほとんどの方は足のむくみがだんだんと頭側に上がってきた結果、ペニスや陰嚢まで腫れてくるのです。これはまずい状況であることが多いのですが、大きく分けると局所での循環不全と全身の循環不全に分かれます。

局所の循環不全は主に骨盤内のリンパの流れが悪くなることで発生し、左右非対称に足が浮腫んでくることが多いです。骨盤内の疾患に対する手術の後で起こる場合もあります。リンパの流れを修復する手術で改善することもありますが、もともとの病気によっては手術適応がないことも多く難治性です。

全身の循環不全は心臓や腎臓の機能低下によって起こります。また栄養状態が悪くなるような病気があると血管の中に水分をキープできなくなってしまうため水が組織内に染み出してしまい浮腫むことがあります。息切れや倦怠感など全身性の症状を伴うことが多いので内科で診断され治療を受けることになります。

繰り返しますが、1人で悩んでないで泌尿器科に相談に来てください。早めに対応することで体へのダメージを抑えた治療法が選択できる可能性が増えますので。                                                                                                                                                                                                                                                                                  

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