メニュー

切迫した感じがある

どんなことも行き過ぎれば害になるように、おしっこに行きたいという思い(「尿意」といいます)があまりにも強く、そして急激におきるとおしっこがもれてしまうことになります。通常これを切迫感と呼び、通常の尿意とは区別して考えます。

 

「正常な(あまり好きな言葉では無いのですが)」排尿とはどんなものなのかが定義されています。

  1. 膀胱に尿を十分に貯留(蓄尿)でき、尿意を感じることができ、しかるべき場所(トイレ)へ移動するまで排尿を我慢することができる
  2. 便器や着衣の用意をしてから、本人の意思によって途切れることなく排尿できる。
  3. 尿は残ることなく排出され、不快感がない。

こうした動作を覚醒中には数回、睡眠中には0〜1回行う。

この文章から考えると切迫感は①「膀胱に尿を十分に貯留(蓄尿)でき、尿意を感じることができ、しかるべき場所(トイレ)へ移動するまで排尿を我慢することができる」のところの問題となります。またとりあえず我慢しきれればまだ良いのですが、切迫感が激烈なものになれば間に合わずに漏らしてしまう、ということになります。これを切迫性尿失禁といいます。我慢しきれずに漏らす、ということですね。ここまでくると生活へのダメージは格段に大きくなります。着ている服が汚れてしまうのが嫌で外出をしなくなってしまったというお話もしばしば伺います。こうなると足腰も弱ってしまい、本当に命に関わる問題にさえなりうるのです。

原因

困ったことにはっきりと原因がわかることのほうが少ないため、根本的に改善を図ることは難しいとされています。ただ、切迫感が生じておしっこがもれてしまうメカニズムとして

  • 膀胱が硬くなってしまう
  • 膀胱に知覚過敏やけいれんが起きている
  • バルブになっている筋肉(尿道括約筋)がうまく働いていない

が考えられます。

①は膀胱の感覚は問題ありませんが、貯めるスペースが限られるためおしっこが溢れ出てしまうパターンであり、
②では膀胱は本来もっと広がれる(おしっこをためられる)にもかかわらず限界のはるか手前で感覚が誤作動を起こして膀胱が痙攣してしまうために漏れてしまうというパターンであり、
③であれば膀胱の広がりも感覚も異常はみられないけれどもおしっこをうまくためておくためのバルブが上手く働かないために漏れやすくなってしまうパターンです。

これらの原因が同時に存在することも多く、一気に改善することができないので、一つ一つ絡み合った問題の糸を解きほぐしていく必要があります。

対策

  • 膀胱を柔らかくして貯められるおしっこの量を増やすには薬を服用するのが一般的ですがなかなか元通りにはできません。そのため行動療法として膀胱におしっこをためる訓練をすることも行われます。ただしこの訓練は膀胱の機能障害の程度によってはかえって状況を悪化させることもあるので医師の指導のもとで行うのが良いでしょう。
  • 膀胱の誤作動による痙攣については薬の内服により改善期待できます。ただし薬の副作用でおしっこが出しづらくなることが稀にあるので定期的に超音波検査で残尿をチェックする必要があります。
  • こちらに効果があるのではという薬剤もあるのですが万人に効果が期待できるという訳ではないので、行動療法である骨盤底筋群体操というトレーニングをすることが勧められています。これは骨盤の底の部分にある筋肉(括約筋を含む)を鍛えようとする訓練ですが、自分の意志で動かせる筋肉ばかりではないので、トレーニング効果がはっきりと自覚しにくいため、訓練を続けるモチベーションを保つのが難しいのが欠点です。有効性をうたう報告は数多ありますが、一体どういう力の込め方をすれば良いのか(短く反復するのがいいのか長く持続的に力を入れ続けるのが良いのか)、一回にどのくらい行えば良いのか、毎日行って良いのかなどの細かい規定はなく、十分に科学的な根拠を得られているとまでは言えません。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME