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子供ができない

自分達の子供が欲しいという希望はおそらく多くのご夫婦、カップルが持つ自然な思いでしょう。ですが性行為を繰り返していてもなかなか子宝に恵まれないという場合が増えてきています。これは結婚年齢の上昇や、そもそもの性行為の回数の減少などが原因と言われています。

では「子供ができない(不妊)」というのはどのような状態を指すのでしょうか?いろいろな学会や機関が不妊の定義を発表していますが、その多くは「正常な性生活を1年以上続けても妊娠しない状態」となっています。実際、生殖が可能な年齢層の夫婦の6組に1組は不妊症であるとの報告もあります。

最近は学校の授業で妊娠のメカニズムや避妊について教育を行うようですが、残念ながらあまり不妊については十分に教えられていないようです。ですので避妊をやめればすぐにでも妊娠する、と考えている若い人たちもおられるようです。女性の一回の排卵周期(多くは一月程度)の間に性行為を繰り返しても妊娠が成立する確率は15%程度と言われています。妊娠とは思ったより起こしにくいものだと思ってください。

妊娠するために性行為が必要である以上、男性女性それぞれに不妊の原因は存在します。科学の光が届いていなかった時代には不妊の原因が全て女性に押し付けられていました。ですが現在では不妊の半数は男性に原因(少なくとも原因の一部)が存在しているということがわかっています。女性の側に不妊の理由がある場合は産婦人科が担当します。男性の側に不妊の理由がある場合は泌尿器科が担当します。そのどちらにも原因がある場合あるいはどちらに原因があるのかなかなかわからない場合には生殖医療センターのような泌尿器科・婦人科の医師が常駐するような施設での診察が勧められます。

原因

当科は泌尿器科ですので担当するのは男性側の不妊ということになります。男性不妊症の原因は大きくわけると以下のようになります。

  1. 精子ができない
  2. 精子はできているが出てこない
  3. 性行為ができない
  4. その他

男性不妊の原因の90%は①にあると言われていますが、単に精子を採取して検査を行い、精子が検出されなかったというだけでは①なのか②なのかが区別できません。区別しなければならない理由は②であれば通過障害を解除する手術により自然妊娠が期待できる場合がありますが、①ではその治療方法に効果がないからです。

診断

  • 男性不妊症の診断はまずお話を伺うところから始まります。頻度は高くありませんが、遺伝子や染色体に問題がある場合もあるのでご家族で同じような方がおられないかなども伺います。またいろいろな病気やその治療によって精子ができにくくなることもあるので既往歴や併存疾患、現在の常用薬などについても細かく伺います。また性行為が成立していないと自然妊娠は起こらないのでそちらについても質問させていただきます。
  • お話を伺った後で体の診察を行います。隠部に変形などがないか、精巣(むかしは「睾丸」とよばれていました)の大きさはどうかなどを見させていただきます。
  • 超音波検査で精巣の内部を観察します。
  • 精液を採取していただきその量や精子の数、運動能力、形の異常などをチェックします。
  • 採血を行い男性ホルモンおよびその関連ホルモンを測定します。
  • 必要であれば遺伝子や染色体の検査を追加します。

対策

上記原因②の場合には閉塞の解除により自然妊娠の可能性がありますが、閉塞している場所がはっきりしないなど解除が難しいこともあります。その場合には原因①と同様に手術によって精巣から直接精子を採取して人工授精を行います。ただ、精子が弱ってしまっていることも多く、そのような場合には一度の治療で妊娠が成立しないため、何度も繰り返す必要がでてきます。

原因③の場合にはこれが体に問題があるのか、心に問題があるのかを見極める必要があります。心の問題である場合には専門施設での夫婦・カップルでのカウンセリングが勧められます。いわゆる勃起補助薬(バイアグラやシアリス)は体に問題がある方に使用されるのですが、これだけで問題が解決するとは限りません。いずれにせよ生殖医療を専門とした施設に相談されることをお勧めします。

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